fukkatsuのブログ

鬱病治療中の日記です

抑うつ状態。について誤解していませんか?

 先日、職務質問を受けました。嫌疑は薬物の使用だったようです。ポケットの中を全て出し…と言っても、タバコのパッケージとPloom withとPloom+のみ。恐らくは、目が飛んでいたんでしょうね。普段、気づくと遠くを眺めるようになっていて、多分、これが一番、視神経や筋肉に優しいんでしょう。傍から見ると目が飛んでいるように見えたのかも知れません。それもあって、お巡りさんには「鬱なんで、目がヤヴァい人と同じように見えていたらごめんなさい。でも、薬は処方薬しか飲んでないから」と言って、無事解放(😁)。ただ、この時には、少し前から遠巻きに二人のお巡りさんがこちらを見ながら、なにかコソコソとしてるんで、私に何らかのアクションがありそうだな。と予感をしていたので、特に萎縮もせずに会話ができたのです。が、これが、唐突な質問だったら、どうなっていたやら…。

 そこで、事後に交番に行って、そのお巡りさんと少し会話とお願いをしました。お願いは、鬱など精神科の病気を自ら言えない人もいるから、一声かける時に「精神疾患はおあり?」と言われるだけで、そう言う人でも少しリラックスできるであろうこと。そして、会話としては彼自身の鬱に対する認識でした。

 「うつ病って薬を飲めば大丈夫なんですよね?」と聞かれたのです。これは正解でもあり、不正解でもあります。先程書いたように、視線の動きなど、細かい動作が苦手になっています。そうですね…ドライブしていたら高速を走っている感覚というのに似ているかも知れません。遠くに焦点を合わせ、できるだけ早く危険察知ができるような目線です。意識をしなければ、ほとんどこんな感じです。まぁ、意識をしていれば、今、こうして書いているようにモニターに焦点も合わせることもできるのですが。

 恐らく健常だった頃は、意識の働くところに常に焦点を変化させていたものが、その対応速度を緩めて、デフォルトが最遠距離になっている感じですし、その時間が外にいるととても長くなっているのでしょうね。

 ですから「薬を飲めば大丈夫」というのが、健常な状態と同じになれるかと言えばNoですし、逆に概ね一般的な生活を送ることも可能です。なので、Yesでもあり、Noでもあるわけです。

 そんな事を考えながら、以前にも書いたこととも重複しますが、少し誤解されがちなこと、自分自身が体験している鬱の状態について、QA的に書いてみようかと思います。

Q1. 鬱は気分の落ち込みがあるだけ

A1. 実際には身体症状もかなり多くあります。例えば食欲不振、あるいは薬の作用による過食も起こります。便秘がちになったり、その逆にもなります。便秘の時の膨満感は健常な頃を1とすれば10は遥かに越える不快感です。また薬の作用によっては、頻尿などが起きやすくもなります。そして、動悸です。ちょっとした変化や動揺で動悸が起こり収まりません。これは対症療法の向精神薬を飲めば収まるのですが…。

Q2. 鬱は誰でもなるもの?

A2.概ね、全ての人がなり得ると思います。よく「几帳面な人ほど」とか言われますが、私などはズボラの典型。それでも仕事となると緊張度と労働強度が高い状態が長引いたこと、繰り返されたことで発症したと思っています。この緊張、労働強度などの環境や習慣によって引き起こされるのであれば、どんな仕事や環境でも当てはまると思いますから、多くの人が鬱になる可能性を秘めていると思います。

Q3. 鬱は治る

A3. 鬱の状況は改善します。また寛解と言って、しばらくの間、症状が発生しないことで健常な状況に戻ったと認識されるレベルに到達できるのです。しかし、残念ながら、トラウマ的なものが心のどこかに残っているため、過度のストレスや緊張が続けば再発する可能性があり、完全に治ったとは認識されませんし、保険などでも既往症として精神疾患があるかどうかはリスク要因になるため、調査・質問の対象となっています。

Q4. 鬱なら笑わない

A4. 鬱でも笑うことはあります。ただ、私の場合に限ってみると、目の焦点と同じく、表情も乏しくなっていてニッコリしようとすると引きつってみたり、と健常だった頃には当たり前に「鍛えられていた」筋力が落ちてしまっていたりします。

Q5. 鬱なら酒は飲めない

A5. 過度の飲酒はお勧めしませんし、原則、鬱で処方される薬の多くはアルコールとの併用を禁忌あるいは、注意されるものが多いようです。ただ全くの禁酒生活かと言えば、私の場合はそんな事はありません。コロナ禍の影響で外のみはしていませんが、自宅で毎晩だった軽い晩酌を1〜2週間に一度、ビールや酎ハイの350ml缶に変えたと言ったところでしょうか。この程度ですと、特に問題なく翌日も過ごすことができているので適量・適宜の飲酒なら問題ないと思います。

Q6. 運転はできない

A6. 処方される薬の要領として、運転を禁忌としていたようですが、プロのドライバーにとっては死活問題になるため、注意条項に変化させたようです(詳細は薬剤師やDr.と相談してください)。私の場合、運転はしていませんし、当初は薬の副作用で常時、眠気が襲ってきていたので、その点でも危険性はあったと思います。しかし、現状は、特に昼寝などしなくとも、夜、睡眠薬を飲んで寝れば、通常の通り…以上に昼も寝る必要なく過ごせています。

Q7. 向精神薬は怖い

A7. 私自身、以前、SNSで知り合った精神科のDrから向精神薬による「躁転」の怖さを効いていたので、向精神薬の服用には抵抗がありました。しかし、実際には両極世生涯のように躁期や万能感を味わったことがある人でなければ問題ないと言われ、今も服用しています。ここまでの経過として躁転になったことも、不自然にハイになったこともありません。また、動悸が激しくなったり、あるいは気分の落ち込みが激しい時に飲む向精神薬(頓服)を飲んでも、同様、特に問題行動を起こしたことはありません。ただ、頓服は鬱の状態から急速に引き上げる作用があるため、薬効が切れると元通りの鬱の状態に戻る、いわばノコギリの歯のようなジグザグに気持ちを動かす事があるので、服用をせずに過ごすほうが長い目で見ると寛解に近づきやすいようです。

Q8. 普段、気をつけていることは?

A8. 色々、気をつけてはいますが、根がズボラなので長続きしないことも多いです。ただ、深呼吸や瞑想など、副交感神経に作用してリラックスできるように普段から気を使っています。また、精神科に通うようになると何かと書類が発生してきます。書類の管理は100円ショップで売っているような紙フォルダーを使って無くさないようにしていますし、奥さんにもかなりの協力(というより負担の押し付け)をしてもらっています。

Q9. 家族や周囲が気をつけるべきことは?

A9. 正直、うちは奥さんがいてくれて物凄く助けられています。時に面倒くさくなったりもしますが、陰日向で頑張ってくれる姿をみるだけで救われます。逆に、自分の無力感に苛まれる事もありますが、奥さんの為にも頑張らないととは思えるはたしかです。
 そして、お身内に鬱の方がいらっしゃれば、できるだけゆっくりと会話してください。相手が早口で返してきても、聞き取り能力は健常だった頃よりも落ちている思います。私自身、グイグイを話をしてくる人との会話は厳しいものがあります。わざとらしいくらいゆっくりと話して貰えるくらいでも、全然嫌味だとは思いませんし、役所などでも自立支援などの担当窓口の人たちは、かなり、その点に気を使って話しているように思います。

Q10. 鬱になったら人生詰んでる?

A10. 私は全然、そんな事は思っていません。夢もありますし、やりたいこともあります。そして、そのために微々たる・遅々とした努力ですが、積み重ねているつもりです。諦めさえしなければ、若くても老いていても、鬱に潰されずに生きていける法制度があります。もし困窮していれば、役所やDrと相談すると道が開けてくると思います。

Q11. 宗教の勧誘はある?

A11. 特に私にはありませんし、もしあってもお断りします。私自身、趣味として神社やお寺巡りで日常的に宗教に触れています。そして、そのプラシーボ効果もあって、頓服に頼る率が大きく下がったように思います。が、例えば「憑き物を落としてあげよう」とか「カルマが」と言われても、根のところで疑っている私にはプラシーボ効果はないように思います。

Q12. 鬱と診断されたら、復帰に時間がかかる?

A12. 症状やその人のキャラクター、そして環境によって、かなりの差があるのではないでしょうか。私の場合、概ね10ヶ月を経過しましたが、未だ職場を考えると動悸が起きたり身震いがするので職場復帰はできずにいます。また、もし職場復帰を万全に行いたい場合には、各種のリワーク施設や企業があるので、Drなどとも相談して、利用してみると良いのではないでしょうか。また勤め先によっては、これらの施設の利用について経費と認められたりもするようですから、人事部などにも伺うと良いと思います。

Q13. 弱い人が鬱になるんだよね

A13. かも知れませんね。ただ、心の弱点は、どんな人にもあると思っています。それを突然、突かれたり、繰り返し責め立てられれば、自分は鬱になんてならないと思っている人でも、ある日、鬱と診断される可能性は否定できないと思います。だから、人並み外れて弱い人が罹るとは認識していません。

Q14. どうして鬱だと気がついた?

A14. コロナ禍の中でリモートワークの打ち合わせ中、何度か、馬耳東風、相手の声が右から左に流れていくような感覚がありました。言っていることは認識しているのです。例えば「画面の切り替えをしてくれ」と言われれば「はい」と返事はするのです。が、行動には移らない。再度「画面を切り替えてくれ」と言われて、ようやく自分がやらなければならないんだなと認識できるような事が起こりました。これが一つです。また、こちらから発言しようと考えても、それが言葉に置き換わらない。これが重なると、まるでガラスの水槽の中に閉じ込められたように、相手の事は見えていても意思疎通が困難になってきます。また書類の作成をしていても、途中で気が散って、なかなか作業の進捗に結びつかなくなってきます。そこで勤め先のイントラに書いてあった厚労省の相談窓口に電話をして、通院。そこで「仕事はしばらく忘れて休んだ方が良いわ」と言う状況になりました。

Q15. 気づいた初期症状は?

A15. まず睡眠が非常に浅く、夜中に目覚めると、そこから寝付くまで1時間以上平気で掛かるようになっていました。また数年前から過度のストレスと労働強度(IT屋なので肉体よりも拘束時間や作業時間)が高くなると、ひどい便秘になったりもしていました。これらが重なり、自分でも驚くほど苛ついたりもしていましたね。もし普段はおとなしい人が急にイライラした状態になったと気づいたら、休息を取るように誘導してあげて欲しいものですね。

 

とまぁ、つれづれ、思い出しつつ書き連ねてみました。