fukkatsuのブログ

鬱病治療中の日記です

患者目線で北新地クリニック放火殺人事件を考えてみた

 前回の投稿に引き続き、大阪 北新地クリニックで起きた放火殺人事件について考えてみます。どちらかと言えば、「精神科ってさ」と、精神科に馴染みの無い方に向けて書くつもりでいます。

 まず、クリニックは医院長がカウンセリングも行われ、リワークプログラムも実施されていたので、オールインワンタイプのクリニックだったと思います。ただほぼ全ての心療内科や精神科がそうであるように、要予約の受付となっていますし、特徴的なのは当日予約でも可とはしているものの、どうやら医師は医院長だけのように見えるので普段なら待合にいる患者さんは2〜3人程度、患者からすれば他の人を意識する必要が無い感じだったのでは?と想像しています。ちなみに私が通っているクリニックでは医師が複数おり、またカウンセリングやワーカーなどが専門職として在籍していて、そのため、待合室に10人ぐらい腰掛けていることもザラにあります。が、全員が受付時に渡されるプレートの番号で呼ばれるので、個人のプライバシーは、これによって秘匿された形になっています。

 この事から、このクリニックはリワークが行われていなければ、被害を最小に抑えられたと言えます。が、リワークプログラムが行われているクリニックは、そうではないクリニックに比べて遥かに利便性も高いですし、恐らくリワークプログラムを通じて医師へのフィードバックも行われていたと思われます。これはとても心強く、自分が復職できるのか、それとももう少し腰を据えて治療に努めるべきかを客観的に判断しやすくなるはずです。逆に言えば、犯行はリワークでクリニックが繁忙になる日、時間帯を狙ったとしか思えませんし、消火栓(?)への細工など報道されている内容を見る限り、充分に計画を練っての犯行だと思われます。

 では、これを防ぐ手立てを思いつくか?と言われると、これはかなり至難の業なのではないでしょうか。前回の投稿でも書いたようにガソリンの販売や携行に規制を掛けても、禁止はできません。生活必需品なのです。ただ他のものに比べて遥かに危険なだけで。

 後は避難経路ですね。報道されている見取り図では、出入り口は一箇所、外への経路はエレベーターと隣接した非常階段のみ。こうなるとエレベーターホールか出入り口でガソリンを撒けば、少なくともクリニック内の人達は袋のネズミです。後は消火設備として消火剤やスプリンクラーが考えられますが、予め消火器(消火栓?)を仕えなくし、また消防法上、スプリンクラーの設置義務が無い以上は、どうすることもできないのではないでしょうか。これは精神科や心療内科に限った話ではなく、どのオフィスでも下手をすれば住宅でも起こり得る話です。その最悪の類似例が京アニでしょう。

 今、恐ろしい事は2つあります。一つは精神疾患の患者や精神科・心療内科クリニックに対する謂れのない偏見の助長です。当該のクリニックは特定の疾患に強みを持っていてたようですが、疾患の種類や状況によって症状は千差万別です。また、自分が気づいていないだけで、実際に診察を受ければもっとヤヴァい人は山程いるはずです。ですから、クリニックや、そこに出入りする患者を今回の犯行の予備軍だとは見ていただきたくはないと願っています。

 そしてもう一つは、犯罪の模倣です。今回の一件も京アニを参向にしたと言われていますが、このようにガソリンをバスや電車・地下鉄で使われたとしたら、と京王線での事件を重ねて見ると恐ろしくて仕方ありません。

 少なくとも不特定(超)多数が使用する閉鎖空間(例:列車・地下鉄道駅)では、AIを使った不審人物の検出や、それに対する警戒・警備を強化すべきではないでしょうか。

 普段、日本のIT技術をバカにしている私ですが、国産技術で(一応)、空港などでの不審人物検出を可能としていると言っているメーカーもあります。これが上手く応用できれば、今回のような雑居ビルでも規模の大きなところであれば、コスト的にも見合う形で防犯が可能となり、同様の悲劇が起きずに済むのではないかと考えています。人命よりも重いプライバシーはないはずですし、今回の一件を考えて物理的(人的)破壊行為防止への理解が進めば、そういったセキュリティシステムやサービスのコストも下がり、また徐々に当たり前になりつつある防犯カメラが、個人・団体を問わず大量殺戮を無くす目になり得ると考えています。

 頑張れニッポンのIT企業。頑張れ日本人。